肋骨や骨盤骨の障害
「その他の体幹骨」の後遺障害についてまとめました。
- 「その他の体幹骨」の構造の基礎知識
- 「その他の体幹骨」に関する後遺障害等級表
- 用語の定義と等級認定ルール
- 認定上の争点になりやすい問題
「その他の体幹骨」の構造の基礎知識
「その他の体幹骨」とは、鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨、骨盤骨(仙骨を含む)を指します。
【鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨】
鎖骨と肩甲骨は左右に分かれているため、左右別々の骨として扱われます。
これに対して肋骨は全体として一つの部位として扱われ、何本折れても一塊の肋骨障害として捉えられます。
【骨盤骨】
仙骨と尾骨は、解剖学的には脊椎の一部ですが、頸部と体幹の保持と運動の機能は持っていません。
そのため、障害等級の世界では脊椎の一部ではなく、別の扱いを受けます。
仙骨は骨盤骨の一部とみなされ、尾骨は障害等級評価の対象外です。
「その他の体幹骨」に関する後遺障害等級表
部位 | 障害内容 | 等級 |
---|---|---|
その他体幹骨 | 鎖骨、胸骨、肋骨、肩甲骨または骨盤骨に著しい変形を残すもの | 第12級5号 |
用語の定義と等級認定ルール
「著しい変形」の定義
「著しい変形を残すもの」というのは、裸になった時に変形や欠損が明らかにわかるレベルを指します。
レントゲン等で見た時に初めてわかるレベルは含まれません。
併合のルール
その他の体幹骨に2か所以上の著しい変形がある場合、併合繰り上げで1等級上げて11等級相当とします。
ただし、箇所が増えてもこれより上はありません。
また、併合繰り上げができない例外もありますが、ここでは割愛します。
認定上の争点になりやすい問題
後遺障害に該当するかどうかが争点になる場合は少なく、等級自体は認められることが多いです。
争点として圧倒的に多いのは、労働能力喪失率の認定問題です。
つまり「等級自体は認めるが同じ等級に属する他の障害ほど日常生活に影響がないのではないか」という疑義が出されることが多いです。
そのため、労働能力喪失率を割り引くかどうかが争われます。