【交通事故・後遺障害逸失利益の計算】

等級と事故前の収入が決め手!

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後遺障害逸失利益とは?

後遺障害を負ったことによって労働能力が低下し、それが原因で起きるであろう収入の減少を指します。

 

これは損害賠償の対象になります。

 

逸失利益は後遺障害慰謝料とは別の費目なので、混同しないように注意してください。

 

慰謝料は、障害者として生きていくことに伴う肉体的・精神的な苦痛に対する償いのお金です。

 

収入の減少を補償するというのと、意味付けが根本的に違います。

 

慰謝料は、障害の等級には関係しますが、事故に遭う前の収入は関係ありません。

 

これに対して、逸失利益は障害の等級と事故に遭う前の収入によって決まります。

 

被害者がもらうお金はなんでもかんでも「慰謝料」と言う人がいますが、費目の小分けがわかっていないのは誤魔化される元です。

 

慰謝料と逸失利益を区別して、両方ともしっかり請求するようにしましょう。

 

逸失利益の計算方法

下記の式が基本になります。

 

逸失利益=年収×労働能力喪失率×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

 

例えば、年収500万円の35歳のサラリーマンが、第8級の後遺障害等級を認定された場合。

  • 労働能力喪失率は下表より、45%
  • 35歳に対応するライプニッツ係数は、15.803

 

よって、逸失利益=500万円×0.45×15.803=3,561万7,500円

 

労働能力喪失率とは?

障害の等級ごとに、働く能力がどれくらい落ちるかという率が事前に定められています。

 

同じ障害でも働く能力の落ち方は仕事によって違うでしょうし、労働能力が半分になった人がそもそも就職できるのかという問題もあります。

 

しかし、そういう現実的なことを言い出すとケースバイケースできりがないので、等級によって一律に定められているわけです。

 

つまり、逸失利益計算の項目のひとつは、後遺障害等級の認定によって自動的に決まります。

 

等級

労働能力喪失率

等級

労働能力喪失率

要介護1級

100%

第7級

56%

要介護2級

100%

第8級

45%

第1級

100%

第9級

35%

第2級

100%

第10級

27%

第3級

100%

第11級

20%

第4級

92%

第12級

14%

第5級

79%

第13級

9%

第6級

67%

第14級

5%

 

ライプニッツ係数とは?

逸失利益は分割ではなく、一括(一時金という)の形で受け取ります。

 

さて、毎年10万円ずつ10年間もらうのと、最初に100万円もらうのとでは、最終的にあなたが手にする総額は変わります。

 

一時金でもらえば運用して(例えば銀行に預けるだけでも)利子収入が発生するからです。

 

だから、一時金はその分を規定の利率で割り引いた上で支給されます。

 

その計算をあらかじめしておいた係数がライプニッツ係数です。

 

例えば、冒頭の例で障害を負ったのが35歳の場合、67歳まで働けるという考えで計算するので、働ける期間は32年です。

 

しかし、逸失利益の計算では32をかけるかわりに、それを利率で割り引いたライプニッツ係数15.803をかけます。

 

「え?利率で割り引くにしても数字が小さすぎない?」と思うかもしれません。

 

現在、交通事故損害賠償の計算に使われるライプニッツ係数の利率は5%です。

 

今時、そんな高利回りが期待できる安全な運用先などありません。

 

銀行の利子も限りなくゼロに近づいています。

 

そんな現実離れした利率で割り引くから、ライプニッツ係数が小さくなってしまうのです。

 

しかし、今のところ、裁判所は5%を妥当とみなしているので、文句を言っても仕方ありません。

 

専業主婦や学生の年収計算方法は?

さて、逸失利益計算の項目のうち、年収に再度注目してみましょう。

 

安定した月給をもらっている人はわかりやすいのですが、そうでない人の年収計算には様々な疑問がわくはずです。

 

  • 自営業・自由業の人は年収変動が大きいが、どう考えるのか?
  • 専業主婦は現金収入はないが、その仕事の価値はゼロなのか?
  • 将来ある学生の逸失利益は大きいはずだが、まだ年収はない。どうするか?
  • 幼児・子供はどう考えるのか?
  • 事故1年前にたまたま失業していたら、逸失利益はゼロなのか?

 

こうした問題への対処法は決められており、下記に簡単に整理しています。

 

有職者

事故前1年間の収入と年齢別平均給与の高い方が採用される。
年収の証明は、サラリーマンなどの給与所得者は給与明細や源泉徴収票が基準になり、本給だけでなく、手当や賞与も含まれる。
自営業・自由業の人は納税証明書が基準になる。

幼児・学生・主婦

賃金センサス(統計資料)による男女別全年齢平均賃金で計算する。
パート収入等がある兼業主婦の場合は、実収入と比較して、高い方の数字を採用する。
これらの人は実収入はないけれど、逸失利益が認められている。

その他働く意思と能力を有する者

失業していても、労働能力があり、求職活動などもしていると、逸失利益が認めてもらえる。計算には賃金センサスを使う。
長期間無職で仕事も探していないような人の場合は難しい。

 

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