【特殊な疼痛|精神・神経の後遺障害認定】

カウザルギーやRSD

自賠責保険上、「特殊な性状の疼痛」と位置付けられるものがあります。

 

カウザルギー、RSD、CRPSといったものです。

 

その痛みは激烈なもので、普通の疼痛とは別の等級認定基準が用意されています。

 

これについてまとめました。

 

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「特殊な性状の疼痛」の種類

 

カウザルギー

カウザルギーとは、末梢神経損傷後の四肢の激しい焼け付くような疼痛を特徴とする慢性疼痛性症候群です。

 

灼熱痛を意味するギリシャ語から作られた病名です。

 

末梢神経が完全に切断されると感覚麻痺や運動麻痺が起きます。

 

しかし、カウザルギーは完全な破断ではなく、中途半端な損傷によって引き起こされます。

 

RSD

RSDはReflex Sympathetic Dystrophyの略で、交感神経の異常で起きる疼痛症候群です。

 

焼かれるような激しい痛みとともに患部が赤く腫れあがります。

 

しかし、時間の経過とともに皮膚温が低下し、青ざめて乾いたロウソク状になります。

 

発症後3~4週間ごろから骨の萎縮が広がっていきます。

 

CRPS

1994年の世界疼痛学会で、カウザルギーとRSDはCRPSという病気の異なる2タイプだということにまとめられました。

 

その後、研究が重ねられて、日本版のCRPS判定指標も作られました。

 

「特殊な性状の疼痛」の等級認定基準

自賠責では次のように規定しています。

(ア)受傷部位の疼痛および疼痛以外の感覚障害については、次により認定すること。

 

a 疼痛
(a) 「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差支えがあるもの」 12級13号

 

(b) 「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」 14級9号

 

b 疼痛以外の感覚障害
疼痛以外の異常感覚(蟻走感、感覚脱失等)が発現した場合は、その範囲が広いものに限り、14級の9に該当すること。

 

(イ)特殊な性状の疼痛
a カウザルギーについては、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間および日内変動ならびに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して次のごとく等級の認定を行うこと。

 

(a)「軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの」 7級4号

 

(b)「通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」 9級10号

 

(c)「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの」 12級13号

 

b 反射性交換神経性ジストロフィー(RSD)については、関節拘縮、骨の萎縮、皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も腱側と比較して明らかに認められる場合に限り、カウザルギーと同様の基準により、それぞれ第7級の3、第9級の7の2、第12級の12に認定すること。

 

認定上の争点になりやすい問題

医者がカウザルギーやRSDと診断を下しても、それがそのまま自賠責や裁判で通るとは限りません。

 

例えばRSDの場合、自賠責の基準では関節拘縮、骨の萎縮、皮膚の変化の3要件が明らかに認められることを求めています。

 

医師がRSDと診断しても骨の萎縮が起きていなければ、採用されない可能性が強いのです。

 

わかっていないことが多い病気なので、裁判所は慎重です。

 

カウザルギーやRSDで認定をもらうつもりなら、こうした認定条件をよく吟味し、しっかりした医学資料を準備する必要があります。

 

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