等級表にない症状の格付けルール
等級表には、よく見られる後遺症状はほぼ網羅されています。
しかし、人間の体は複雑なために稀に表にはないが無視できない症状が現れることもあります。
そうした場合に症状の程度にふさわしい等級を与えるルールが準用(相当)です。
準用(相当)の根拠
準用は等級表に書いていない判断を例外的にするということです。
それをしてもいい根拠はあるのでしょうか?
準用の根拠になっているのは、自賠責後遺障害等級表の備考六です。
「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする。」とあります。
表にないものは重大な症状でも認めない、といった硬直的な運用にならないよう、柔軟な対応の余地が残されているのです。
準用の代表例 味覚
準用が用いられる代表的な症状は味覚障害です。
味覚障害は等級表に載っていませんが、料理人等にとっては致命傷です。
味覚が重要な職業ほど等級認定される可能性は高いです。
等級に取り決めはないわけですが、これまでの判例から味覚減退は14級相当、味覚脱失は12級相当とされることが多いです。
味覚脱失(12級相当) | 4種の味覚のすべてを喪失したもの。 |
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味覚減退(14級相当) | 4種の味覚のうち、1種以上3種以下を喪失したもの。 |
4つの味覚とは(甘み、塩辛さ、酸っぱさ、苦味)で、感度の検査方法が確立されています。
準用がありうる他の例
後遺障害等級表には眼、耳、鼻等の障害も載っていますが、下記のような症状は漏れています。
味覚障害だけでなく、こうしたものにも準用で等級が認定される可能性があります。
眼 |
外傷性散瞳、流涙など |
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耳 |
耳漏、耳鳴りなど |
鼻 |
嗅覚脱失、嗅覚減退、鼻呼吸困難など |
口 |
味覚障害、舌の異常や嚥下障害、かすれ声など |