むち打ち症で多い頭痛
事故の後に頭痛を訴えることはよくあることです。
主には頭部外傷とむち打ち症に絡んでのことが多いです。
頭痛の後遺障害等級認定についてまとめました。
頭痛の分類
1988年の国際頭痛学会の頭痛分類を受けて、自賠責の分類も下記のように改められました。
(ア)機能性頭痛
- 片頭痛
- 緊張型頭痛
- 群発頭痛および慢性発作型片頭痛
- その他の非器質性頭痛
(イ)症候性頭痛
- 頭部外傷による頭痛
- 血管障害に伴う頭痛
- 非血管性頭蓋内疾患に伴う頭痛
- 薬物あるいは離脱による頭痛
- 頭部以外の感染症による頭痛
- 代謝性疾患に伴う頭痛
- 頭蓋骨、頸、眼、鼻、副鼻腔、歯、口あるいは他の頭部・頭蓋組織に起因する頭痛または顔面痛
- 頭部神経痛、神経幹痛、除神経後痛
(ウ)その他
- 分類不能な頭痛
頭痛の後遺障害等級認定
労災等級 |
労災基準 |
自賠等級 |
自賠責基準 |
---|---|---|---|
第9級7の2 |
通常の労務に服することはできるが、激しい頭痛により、時には労働に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの |
9級10号 |
神経系統の機能または精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
第12級の12 |
通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛が起こるもの |
12級13号 |
局部に頑固な神経症状を残すもの |
第14級の9 |
通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻回に発現しやすくなったもの |
14級9号 |
局部に神経症状を残すもの |
認定上の争点になりやすい問題
脳損傷によると思われる頭痛なら、高次脳機能障害の等級認定を争うことになります。
頭痛が単独で問題になることはあまりなく、頭部外傷やむち打ち症がらみで出てきます。
9級の認定には、原則として、局部の神経症状にとどまらず、脳や脊髄の中枢神経の異常に関する所見が必要です。
12級認定には他覚的所見が求められます。
14級認定には、事故で生じた異常から症状が整合性ある医学的説明ができなければなりません。
単に頭痛がするという愁訴だけで認められるものではないので、弁護士や担当医師にしっかり準備してもらう必要があります。
低髄液圧症候群
「低髄液圧症候群」という概念が話題になり、むち打ち症の持続する症状の主因であるといった主張さえ現れました。
内容は、硬膜とくも膜に穴が開き、脳脊髄液が漏れて頭蓋内圧が低下し、頭痛などの症状を引き起こすというものです。
裁判で「低髄液圧症候群」を主張する例も増えましたが、なかなか認められていません。
一度、真正面から認める判決が出て話題になりましたが、ほとんどの判決は「低髄液圧症候群」の発生を否定、または発症との因果関係を否定しています。