【外傷性てんかん|精神・神経の後遺障害認定】

てんかんのうち、脳損傷によるもの

交通事故の脳損傷によって、「てんかん」という精神病を発症することがあります。

 

その内容と後遺障害認定についてまとめました。

 

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「てんかん」とは?

漢字で癲癇と書き、反復性の発作を特徴とする慢性の脳疾患です。

 

全身を硬直させ、意識を喪失して痙攣する大発作で知られています。

 

しかし、一瞬意識を喪失してすぐ回復する発作や単に意識を失って倒れる発作、意識障害を伴う舌なめずりや揉み手など一瞬自分の世界に入って癖が出ているだけに見えるような発作もあります。

 

原因は脳の損傷の場合と原因不明の場合があります。

 

脳の損傷の原因は、出生時に仮死状態や低酸素であったり、脳炎、脳血管障害、外傷などがあります。

 

交通事故でてんかんを発症する場合は外傷性ということになります。

 

外傷性てんかんの後遺障害等級

等級

旧基準

新基準

2級

意識障害を伴う発作が平均して週1回以上多発する

3級

発作に伴う精神障害のため、終身労務に服することができない

 

5級

発作の頻度または発作型の特徴などのため、1/4程度の労働能力しかない 1カ月に1回以上の転倒する発作等あり

7級

投薬しても1カ月に1回以上の意識障害を伴う発作が出る

転倒する発作等が数カ月に1回以上
その他の発作が1カ月に1回以上

9級

投薬すると数カ月に1度以下に発作が抑えられる
または明らかにてんかん性の棘波がみられる

 

その他の発作が数カ月に1回以上か、服薬でほぼ完全に発作が抑制されている

12級

 

発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認める

 

平成15年に認定基準の改正がありました。

 

以前は2級・3級の設定もありましたが、1カ月に2回以上の発作がある場合、てんかんが単独で存在することは考えにくい。

 

通常は高度の高次脳機能障害を伴っているので、3級以上の高次脳機能障害として認定していくことになりました。

 

外傷性てんかんの診断基準

何をもって「外傷性てんかんである」と診断するのか?

 

それには「Walkerの6項目」が広く用いられています。

 

Walkerの6項目
  1. 発作はまさしくてんかん発作である
  2. 受傷前にてんかん発作はなかった
  3. 外傷は脳損傷を起こすのに十分な程度の強さであった
  4. てんかん発作の初発が外傷後あまり経過していない時期に起こった
  5. ほかにてんかんを起こすような脳や全身疾患を有しない
  6. てんかんの発作型、脳波所見が脳損傷部位と一致している

 

認定上の争点になりやすい問題

まず、被害者の症状がてんかんなのかどうかが争点になる場合があります。

 

似た発作を起こす病気として、脳虚血発作、一過性全健忘、心因性発作、偏頭痛、ナルコレプシーなどもあるからです。

 

てんかんの場合、特徴ある棘波が脳波に出るので、脳波診断が決め手になることが多いです。

 

しかし、棘波が検出されなくてもてんかんを認めた判例もあります。

 

次に、症状がてんかんだと認められても、それが事故で起きたのかどうかという因果関係が問われることもあります。

 

事故以前からてんかん発作が出ていたとか、もともと素因を持っていたのがたまたま事故後に発症したことも考えられるからです。

 

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