事故前から障害を持っている人の場合
もともと障害を持っている人が交通事故で後遺障害を負った場合が「加重」です。
加重の場合、独特の保険金計算ルールがあります。
加重の定義
交通事故で障害が加わり、既存の障害より重くなった場合が加重です。
既存の障害は、先天的なもの、後天的な病気やケガによるもの、以前の交通事故によるものなど、すべて含みます。
既存の障害部位に新たな障害が加わっても、障害等級表で上の序列に入れるほどでなければ、等級の繰り上げはありません。
また、交通事故による障害が時間の経過とともに悪化してきただけの場合も加重には入りません。
加重の等級付けと保険金の扱い
等級認定の方法は、最新の障害の状態を通常のルール通りに認定するだけです。
しかし、保険金の扱いは通常と異なります。
例1
例えば元の障害が12等級、新たな障害が11等級と認定されたとしましょう。
保険金の受取は下記のようになります。
慰謝料等の受取保険金=11等級相当額-12等級相当額
例えば、もともとある指が全く動かない人が事故でその指を失ったとします。
普通に動く指を持った人がその指を失った場合と損害賠償額が同じだったらおかしいですね?
だからもとからあった障害相当分のお金を差し引くのです。
例2
歯の欠損も後遺障害等級表にあります。
しかし、もともと虫歯などで歯を失って、入れ歯やブリッジにしていたり、抜けたまま放置している場合もありますね。
むしろ、すべての歯がそろっている人の方が珍しいです。
これも典型的な加重のケースになります。
まず、事故前の歯の欠損状況から等級を割り出す。
次に事故後の歯の欠損状況から等級を割り出す。
後者に相当する保険金から前者のそれを控除したものが、今回の事故の損害賠償額になるというわけです。